やっと涼しくなりましたね

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連日の猛暑からやっと解放されました。あまりの暑さで私も、盆栽の出し入れが億劫になってしまい、盆栽鑑賞をしていなかったり、ゆっくりお茶を飲みながら読書をしたりなど、文化的な活動から遠ざかっていました。

まだ残暑は続くものの、ここ数日の気温の低下やシトシトと降る雨のおかげで秋の到来を感じますから、海よりも山が恋しくなって日本の森や自然について思いを巡らせるにはちょうど良い季候だと思います。

山道をドライブしているときには大抵の人が車窓から山の風景を見ているはずですよね。ところが、その山の木々が人工林なのか自然林なのかを意識して観ている人がはたしてどのくらいいるでしょうか? 高速道路沿いに見える山々の、何と深緑の単一種林が多いことか。日本の自然林は雑多な樹木が混在しているので薄い緑や深い緑などたくさんの緑色が感じられるはずです。材木用には生産性の高い針葉樹が好まれるのだから仕方ないのですが.......

それと、山道の車窓から気になることがもう一つ、川の護岸工事です。いつ行っても必ず川のどこかを工事しています。自然林の伐採が進んで鉄砲水が増えてしまったせいでしょうか? あれでは魚も住めなくなっているはずです。

今まで通りの経済活動を続けているだけでは、どうしても森を守ることができないのですね。手遅れにならないうちに、国ぐるみで何とかしたいものです。さもないと森の荒廃が海の大陸棚の荒廃へとつながり、海の魚の生存までもが脅かされるのでは、と心配になります。

最近、私が手元に置いている盆栽は日本の雑木林に生える木々が多くなりました。かけがえのない日本の自然林に思いを馳せる時間が増えたせいでしょう。盆栽は世界を表す小宇宙です。手元にある盆栽を鑑賞しているだけで世界中を逍遥できてしまうのです。伝統的な型にこだわらない盆栽を大いに楽しんでゆきたいものです。まずは自然の観察から。すべてはイメージ力から始まります。

2008.8.26  Hitoshi Shirata

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