Concept

一鉢一鉢に宿す風景

NEO GREEN の立ち上げを意識していたのは、もうずいぶんと前のことになります。
会社勤めを辞めて家業を継いだ20年ちかく前、20歳代後半だったときになります。しかし、家業は花卉業界ではなくアパレル業界に属す業種でした。

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小学生の時に、同居していた園芸好きな祖父が亡くなり、私が自宅屋上庭園の世話をするようになったことがきっかけで、園芸に親しむようになりました。土いじりや種まき、球根の植え付けや挿し木などの作業は新しい発見の連続で、どんどんのめり込んでいきました。就寝前には園芸ガイドブックを見開いて、眠くなるまで眺めていましたし、NHKの番組「趣味の園芸」も毎週欠かさず見ている子供でした。また、幼少のころから昆虫や小動物が大好きで、いまだそこら辺の好みは変わらずに歳をとっていってますが、どうやら世の中の多くの人たちは大人になると、虫を触ることや土の中にミミズなどの小さな虫を発見することを不快なことだと思うようになってしまうようです。子供の頃は平気だったのに、という人が多いのです。そんな自然に対する感性を失ってしまうことはさびしいですし、そんな人たちの子は、物心がついてゆく年齢からは虫や泥などを嫌いになってゆくのでしょうか。

以下、「沈黙の春」の著者で有名なレイチェル・カーソンの最後のメッセージ、「センス・オブ・ワンダー」の中の一節です。

子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。

もしもわたしたちが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー = 神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。

この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。

ああ、なんと素晴らしいメッセージでしょう。
感じてはいても言葉にはならなかった思いを明文化してくれています。

人は社会的な動物ですから、皆で集まり都市を形成して、より便利に生活したいと思う一方で、大自然にも触れたいという欲求もあり、海や山に旅行に出かけます。DNAに織り込まれているのでしょうか。人は矛盾するいろいろな要素のなかで揺らいで生きている動物なのです。私が長い間たずさわったファッション業界もそうでした。皆と同じ格好で安心していたいと思う気持ちと、自分だけにしかできない格好をして目立っていたいと思う人の気持ちの揺らぎのなかで産業が成立していました。

首都圏にはますます多くの人が集まり過密化しています。高層住宅に住まう人の比率が高まり、自然に触れる機会がどんどん減ってゆくことでしょう。忙しい都市生活や温暖化の環境変化で失われがちな日本人本来の四季感覚や、枝振りや「間」を愛でてきた高度な文化。自然と融合してゆこうとする日本人の建築&生活スタイル。NEO GREEN のグリーン商品や活動がそんな日本古来の意識や感性を喚起できる媒体になれれば幸いです。そして地球環境問題への対策が大きく叫ばれている今、日本古来の人生観である「豊かな人生とは、自然のリズムに合わせて生きること」を見つめ直し、日本が世界へ向けて夢のある環境政策ビジョンを発信できる国になるよう、日本の都市生活者の意識や生活文化が大きく変わってゆくことを切望いたします。

NEO GREEN ショップで提供するグリーンポットは、「グリーン」と「ポット」のバランスを大切にして、一鉢一鉢に風景を創ってあります。あわただしい現代生活ではありますが、目の前のひと鉢を大自然や心象風景に見立てて、しばし逍遙してみる時間をもってみましょう。NEO GREEN のグリーンポットと暮らすことで、自分が今まさに「この時」を生きているのだ、そして自然に生かされているのだという悦びが育まれてゆくことでしょう。

そんな思いを込めて、NEO GREEN ショップは2007年10月にスタートいたしました。

Hitoshi Shirata    Plant'sPit Co,Ltd.
2007年12月25日

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