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『木のぼり男爵』

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1767年6月15日、オンブローザの別荘で、ディ・ロンドー男爵家が昼食をとりはじめました。12歳のコジモと8歳のわたしは、その日が大人と一緒の食卓につく、はじめての食事でした。食卓に出てきたのはカタツムリ。コジモはカタツムリは食べたくないと言い張り、父はそれなら食堂から出て行けと言いました。コジモは食堂から外に出て、木に登りました。そしてそれきり生涯、木から地面に降りることは一度もなかったのです。そんなことできるの? と思いつつも、木から木へ縦横無尽に渡り歩き、読書もすれば盗賊と友達になったり、恋愛までしてしまう積極的なコジモを見ていると、それって、すごくいいかもと思えてくるから不思議。滑稽の中にも風刺が潜むストーリーは、木の上に居続けることによって得るものと失われるものがあるという、現代の私たちにも通じる何かを示唆しているよう。本当に大事なもの、見過ごしていませんか?

著者:イタロ・カルヴィーノ

出版社:白水社

2008.7.08  Yoshitaka Haba : BACH

幅 允孝(はばよしたか)

幅 允孝(はばよしたか)

BACH(バッハ)代表。ブックディレクター。国立新美術館ミュージアムショップのスーベニアフロムトーキョーやLOVELESS、CIBONEなどにおける本のディレクションのほか、編集、執筆など、本周りのあらゆる分野で活動中。今年に入ってから、SHIBUYA PUBLISHING BOOKSELLERS、大阪の阪急百貨店メンズ館のThe Lobby、銀座のHANDS BOOKSがオープンしました。

URL: www.bach-inc.com

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